日本は世界でもまれに見る温泉大国で、毎年多くの外国人が温泉に入ることを目的に日本を訪れるほどです。
せっかく日本にいるのならば、世界に誇れる温泉街を制覇するのもいいでしょう。
今回は、日本に来たらぜひ訪れたい「おすすめ温泉名所10選」を紹介します!
そもそも温泉とは?
温泉と聞くと、熱海温泉や草津温泉など、国内の有名観光地をイメージする人が多いと思います。
しかし、「そもそも温泉とは何か?」と聞かれると、答えられない人も多いのではないでしょうか。
「銭湯」の湯を温泉とは呼ばないことからもわかるように、温泉とは単なる「温かい水」ではありません。
温泉とは、地中から湧き出る温水や鉱水、または水蒸気やその他のガスにより作られた「異なる性質の水」です。
では、通常の水と温泉は、どのような違いがあるのでしょうか。詳しく見ていきます。
温泉の定義
日本では、温泉に関する情報が「温泉法」にまとめられています。
「温泉法第2条」の「定義」において、温泉とは「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表①に掲げる温度または物質を有するもの」と示されています。
別表①(環境省のホームページより抜粋)
1. 温度(温泉源から採取されるときの温度) 摂氏25度以上
2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ)
物質名 | 含有量(1kg中) |
溶存物質(ガス性のものを除く。) | 総量1,000mg以上 |
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素) | 250mg以上 |
リチウムイオン(Li+) | 1mg以上 |
ストロンチウムイオン(Sr2+) | 10mg以上 |
バリウムイオン(Ba2+) | 5mg以上 |
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+)(総鉄イオン) | 10mg以上 |
第一マンガンイオン(Mn2+)(マンガン(Ⅱ)イオン) | 10mg以上 |
水素イオン(H+) | 1mg以上 |
臭素イオン(Br-)(臭化物イオン) | 5mg以上 |
沃素イオン(I-)(ヨウ化物イオン) | 1mg以上 |
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素) | 250mg以上 |
ふっ素イオン(F-)(フッ化物イオン) | 2mg以上 |
ヒドロひ酸イオン(HASO42-)(ヒ酸水素イオン) | 250mg以上 |
メタ亜ひ酸(HASO2) | 1mg以上 |
総硫黄(S) [HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの] | 1mg以上 |
メタ亜ひ酸(HASO2) | 1mg以上 |
メタほう酸(HBO2) | 5mg以上 |
メタ亜ひ酸(HASO2) | 1mg以上 |
メタけい酸(H2SiO3) | 50mg以上 |
重炭酸そうだ(NaHCO3)(炭酸水素ナトリウム) | 340mg以上 |
ラドン(Rn) | 20(百億分の1キュリー単位)以上 |
ラジウム塩(Raとして) | 1億分の1mg以上 |
つまり、温泉と呼ばれるためには、地中で自然に作られた水(もしくは地中の成分を利用して作られた水)であるとともに、水の温度が摂氏25度以上である、もしくは所定の成分を一定以上含んでいる必要があります。
これらのことからもわかるように、温泉は独特の特徴を持った水です。
温泉に浸かることでさまざまな効用が期待できることから、病気の治療やリラクゼーション、観光などを目的に、外国人から大きな注目を集めています。
温泉の効能はあるの?
温泉の効能については温泉に含まれる成分によって異なりますが、一般的には心身に作用するさまざまな効能があると考えられています。
温泉の成分は皮膚から直接吸収され、皮下組織や血管に働きかけます。そのため、美肌効果や血流促進などに効果があります。
また、一部の温泉が「療養泉」とも呼ばれているように、温泉の成分は慢性的な疾患や冷え性の改善にも効果があるとされています。
さらに、近年増加するうつ病などの精神的疾患に対しても効果的だと考えられています。温泉でのリラクゼーションにより心機一転を図り、新しい一歩を踏み出す人も多くいます。
このように、温泉にはさまざまな効能があるため、自分の身体に合った成分を含んだ温泉を探したり、心からリラックスできる温泉を探したりしてみることをおすすめします。
日本全国のおすすめ温泉名所
日本は、世界からも大きな注目を集める温泉大国です。日本が誇る人気の温泉名所を紹介します。
熱海温泉(静岡県)
「熱海温泉」は、源泉数が500を超えるといわれる大温泉街です。源泉の平均温度が63度と非常に高く、全国屈指の「高温泉リゾート」として認知されています。
温泉は無色透明で匂いがないため、初めての人でも安心して利用できます。
また、疲労回復や消化器系の改善に効果的な温泉も多くあります。
都心からのアクセスが非常によく、新幹線に乗れば東京駅からたったの35分で到着できることも人気の秘訣です。
エリア一帯が温泉街として栄えているため、ショッピングや食べ歩きも楽しめます。
温泉はもちろん、海や山の景観も楽しむことができます。
草津温泉(群馬県)
株式会社観光経済新聞社が毎年実施する「にっぽんの温泉100選」にて、18年連続で1位を獲得しているのが「草津温泉」です。
温泉の自然湧出量は日本一ともいわれ、エリア全体が温泉街として栄えています。
温泉は酸性のものが多く、雑菌などの殺菌効果に優れています。皮膚病、神経痛、糖尿病などを改善する療養地としても人気です。
開放感を味わえる大浴場から、自然に囲まれた露天風呂、エンターテイメントに優れた温泉など、さまざまな種類の温泉が楽しめるのも人気の秘訣です。
別府温泉(大分県)
「別府温泉」も日本を代表する温泉の1つです。
鶴見岳と伽藍岳という2つの火山の近くに位置しており、独特の温泉街の雰囲気を楽しむことができることから、外国人にも人気です。
別府温泉には、別府八湯といわれる8箇所の温泉郷があり、異なる雰囲気の温泉郷を歩き回る「温泉めぐり」スポットとしても人気です。
温泉の成分もさまざまで、透明な温泉からドロドロに濁った温泉まで、幅広く楽しめます。
最近では、温泉と遊園地をかけ合わせたアミューズメントパークを期間限定でオープンさせるなど、さまざまな手法で温泉の魅力を伝えている注目の温泉地です。
有馬温泉(兵庫県)
日本最古の温泉ともいわれるのが「有馬温泉」です。
六甲山に位置する有馬温泉は、神戸や大阪などからのアクセスがよく、日帰り温泉スポットとしても人気です。
療養泉として指定されている9つの主成分のうち、7つの成分が含まれた温泉が湧き出ており、心身の療養地として人気を集めています。
自分が持つ疾患に適した温泉を選ぶことで、高い効能が期待できます。
温泉街を支える存在として舞妓さんの文化が強く根付いており、温泉だけでなく、古くからの伝統を楽しむことができるのも人気の秘訣です。
下呂温泉(岐阜県)
日本三名泉の1つとして数えられるのが「下呂温泉」です。84度という高い温度で沸いてくる天然温泉です。
温泉の特徴は無色透明なアルカリ性で、クセの少ないほのかな香りであるため、誰しもが利用しやすい温泉として人気を集めています。
東京や大阪、名古屋などからのバスツアーも多く組まれており、車がない人でも訪れやすい温泉地です。
古くから栄えた温泉街の雰囲気と、広大な大自然のどちらも楽しむことができます。
鬼怒川温泉(栃木県)
日本の観光地の1つである栃木県日光の近くにあるのが「鬼怒川温泉」です。
東京からのアクセスがよく、東京に住む人々の観光地として人気を高めたことから「東京の奥屋敷」とも呼ばれています。
泉質はアルカリ性で、やけどに対する効能が高いといわれており、療養目的で長期的に滞在する人も多くいます。
鬼怒川沿いに建てられたホテルや旅館でも温泉を楽しむことができ、川沿いに作られた開放感のある露天風呂も特徴の1つです。
家族連れでも楽しめるようにと、さまざまなエンターテインメントホテルが建ち並ぶことでも有名です。
箱根温泉(神奈川県)
17もの温泉地が集結することで知られる一大温泉街が「箱根温泉」です。
東京からのアクセスがよく、電車を乗り継ぐことで温泉地まで短時間で行くことができることから、短期間の滞在先として人気です。
また、山と融合した温泉地は外国人にも人気で、多くの外国人を見かけます。
泉質は、美肌効果が高いものが多く、女性に人気の温泉地です。
また、エステやマッサージ、リラクゼーションなども楽しめることに加え、海の幸と山の幸をどちらも使った贅沢な食事が楽しめることも人気の秘訣です。
箱根はアートの街としても有名で、ミュージアムなども多くあります。
また、箱根駅伝の中心地としても知られており、多くの人が一度は行ってみたい温泉街でもあります。
秋保温泉(宮城県)
東北の温泉地として有名なのが「秋保温泉」です。名取川沿いに多くの温泉が湧き出ており、ホテルや旅館が点在しています。
仙台から車で約30分という好立地にあることから「仙台の奥座敷」とも呼ばれています。
泉質は弱塩性で、リウマチや神経痛、創傷、貧血などに効果が高いといわれています。
名取川沿いに連なる木々が見事で、紅葉の時期には多くの観光客が訪れます。
すばらしい景色の中で心身のリフレッシュを図りたい人におすすめの温泉です。
由布院温泉(大分県)
大分県の温泉街として、別府温泉と人気を二分するのが「湯布院温泉」です。
湯布岳の麓に広がる温泉地で、全国有数の温泉湧出量と源泉数を誇ります。
風情溢れた温泉街と大自然が人気で、毎年日本全国、もしくは海外から多くの温泉好きが訪れます。
豊富な湯量のおかげで多くの温泉施設があり、安く利用できる共同浴場などが多いことから、温泉めぐりにも最適です。
那須温泉(栃木県)
「那須温泉」は、温泉が多い栃木県でも最古の温泉として知られる名湯です。
泉質は硫黄泉で、辺りいっぱいに硫黄臭が漂い、温泉の雰囲気を楽しむのにもってこいです。
白鹿が那須温泉で傷を癒やしていたという昔話があるように、那須温泉はケガや病気の治療に適した温泉といわれています。
長期で滞在し、騒がしい都会での日々から離れて、心と体を休養させることにも優れています。
また、古くからの檜風呂や、大自然に囲まれた露天風呂など、さまざまなタイプの温泉を楽しめることも人気の理由となっています。
温泉に行くときに注意したいこと
さまざまな効能が期待できる温泉ですが、温泉に行くときに中止すべきこともあります。
特に気をつけてほしいのが、疾患と温泉の泉質の相性です。
以下の疾患を持っている場合、温泉の泉質によっては症状を悪化させることがあります。
そのため、自分の疾患にあった温泉を選ぶようにしてください。
・高熱
・重症高血圧、動脈硬化症
・心筋梗塞、狭心症発作
・重い心臓病や肝臓病
・重症糖尿病
・慢性関節リウマチ
・ガン、白血病、肉腫
・脳卒中
・胃・十二指腸潰瘍
・妊娠中や出産直後
・急性伝染病
また、温泉に入る前に十分な水分を摂ること、酩酊時には利用しないこと、急に立ち上がったりしないこと、かけ湯をしてお湯になれること、長時間の入浴は避けることなども確認しておいてください。
まとめ
日本には海外からの人気も高い、優れた温泉がたくさんあります。
日本にいるのに、この温泉を楽しまない手はありません。
ぜひ、今回紹介した温泉に行ってみてください。