鰻(うなぎ)屋とは?
鰻屋とは、その名の通り鰻を専門に扱う料理店のことです。
日本では古くから「土用の丑の日」に鰻を食べる習慣があり、夏バテ防止やスタミナ補給として親しまれてきました。
鰻屋では、主に「鰻丼」や「鰻重」といった定番メニューから、うなぎの白焼き、ひつまぶしなど、さまざまな形で鰻を楽しむことができます。
本格的な鰻屋では、鰻をさばくところから焼き上げるまでを一貫して店内で行っていることが多く、職人の技が光ります。
特に「串打ち三年、割き八年、焼き一生」と言われるほど、鰻料理は技術を要する料理です。
熟練の職人が炭火でじっくりと焼き上げる鰻は、外はカリッと中はふんわりとした食感で、秘伝のタレが絡んだ絶品となります。
鰻(うなぎ)の美味しいお店を見分けるコツ
せっかく鰻屋に行くなら、本当に美味しいお店を選びたいものです。
美味しい鰻屋を見分けるには、まず鰻の調達方法に注目しましょう。
天然物か養殖物かは価格にも大きく影響しますが、最近では養殖技術も進歩しており、良質な養殖鰻も多く出回っています。
お店がどのような鰻を仕入れているか、産地にこだわりがあるかどうかが重要です。
伝統的な鰻屋では「背開き」か「腹開き」かで地域性が表れます。
関東では背開き、関西では腹開きが主流で、さばき方の違いで食感も変わります。
焼き方では、炭火焼きが主流の本格店では、遠火の備長炭を使い、じっくりと焼き上げます。
この方法だと余分な脂が落ち、香ばしい風味が引き立ちます。
ガス火や電気焼きよりも、炭火焼きを売りにしている店は要チェックです。
また、秘伝のタレは各店自慢のもので、何十年も継ぎ足しで使われていることも珍しくありません。
甘すぎず、鰻の旨味を引き立てるバランスの良いタレが理想的です。
意外と見落とされがちですが、鰻料理においてご飯も重要な要素で、鰻と相性の良い少し固めのご飯で、タレがよく絡むものが好まれます。
良い鰻屋は店の前を通っただけで、香ばしい鰻の焼ける香りが漂っており、逆に、生臭いにおいがする店は要注意です。
鰻(うなぎ)の歴史について
鰻料理の歴史は古く、日本では縄文時代の遺跡からも鰻の骨が出土しており、当時から食用とされていたことがわかります。
文献上では、奈良時代の「万葉集」に大伴家持が鰻を詠んだ歌が残っており、この頃から貴重な食材として認識されていました。
江戸時代になると、現在のような蒲焼きのスタイルが確立します。
関東と関西でさばき方や焼き方が異なるのもこの頃からの伝統です。
特に江戸では、醤油とみりんを使った濃いめのタレが発達し、現在の鰻料理の基礎ができあがりました。
「土用の丑の日に鰻を食べる」という習慣は、江戸時代の学者・平賀源内が考案したという説が有名です。
夏場に売り上げが落ちる鰻屋のために、「丑の日に鰻を食べると夏負けしない」というキャッチコピーを考え出したのが始まりとされています。
明治時代以降、鰻は高級食材としての地位を確立し、現在に至ります。
近年では天然鰻の減少が問題となっていますが、持続可能な養殖技術の開発も進められており、日本の食文化としての鰻料理は今後も受け継がれていくことでしょう。
都内にあるおすすめの鰻(うなぎ)屋をご紹介
わたべ(春日)
文京区・春日に店を構える老舗鰻店「わたべ」は、昭和23年創業のうなぎ専門店。
ミシュランガイド東京にも2018年から5年連続で掲載されており、その実力は折り紙付きです。
厳選された国産鰻を、その日の仕入れに合わせて一本一本丁寧に捌き、串打ち。
炭火で下焼きした後、お茶の葉を入れた蒸し器でじっくりと蒸しあげる独自の製法が特徴です。
そこに絡むのは、昭和の創業以来70余年継ぎ足し続けてきたキリッとした関東風のタレ。
仕上げは高火力の備長炭で香ばしく焼き上げ、熱々ふわふわのうなぎが目の前に届きます。
定番の「うな重」はもちろん、旬の魚を取り入れたコース料理や、お酒と一緒に楽しめる逸品料理も充実。
落ち着いた和の空間は、特別な日の食事にもぴったりです。
本物の味をじっくり味わいたい方におすすめの一軒です。
営業時間:11:30~14:00、17:00~20:30(日曜は夜のみ)
定休日:月曜日
予算:4,000円~8,000円
おすすめポイント:100年以上続く老舗の味、落ち着いた雰囲気
新宿うな鐵
新宿駅西口から徒歩5分。アクセス便利な場所にある「新宿うな鐵」は、高品質な鰻をリーズナブルに楽しめると評判の人気店です。
看板メニューは、香ばしく焼き上げた鰻をたっぷり使った「ひつまぶし」。
そのままはもちろん、お出汁をかけて鰻茶漬けとしても味わえる、一度で三度美味しい逸品です。
また、頭から尻尾までさまざまな部位を楽しめる「鰻の串焼き」も名物の一つ。
職人の手仕事が光るカウンター席では、鰻をさばく音や炭火の香りを間近に感じられる臨場感あふれる特等席です。
席数が限られているため、特にランチタイムは早めの来店がおすすめ。
上質な鰻と美酒に酔いしれる、贅沢なひとときをお楽しみください。
営業時間:11:00~14:30、17:00~21:00
定休日:無休
予算:2,500円~4,500円
おすすめポイント:新宿で手頃な価格の本格鰻、ひつまぶしが人気
山の茶屋
国会議事堂駅の5番出口から歩いて5分。緑に囲まれた静かな場所にある「山の茶屋(やまのちゃや)」は、落ち着いた雰囲気の一軒家のうなぎ料理専門店です。
お店の名物は、ふっくら香ばしく焼き上げた「うなぎの蒲焼(かばやき)」。
なんと390年も前から、少しずつ継ぎ足して大切に使われてきた秘伝のタレが使われています。
戦争中には、タレを守るために地面にうめてかくしていたというお話もあるほど、大切にされてきた味です。
昔からたくさんのうなぎ好きに愛されてきた、ここでしか食べられない特別な味を、ぜひ一度楽しんでみてください。
営業時間:昼 11:30~14:00(13:00) 、夜 17:00~21:00(19:00)
定休日:日曜日・祝日
予算:10,000円〜11,999円
おすすめポイント:390年守り継がれた秘伝のたれが特徴
竹葉亭 銀座店
銀座の一角にひっそりと佇む「竹葉亭(ちくようてい)」は、明治時代に創業した由緒ある老舗鰻店。
賑やかな銀座の中心にありながら、店内は驚くほど静かで落ち着いた和の空間が広がり、まさに本店ならではの風格を感じさせます。
創業から受け継がれてきた100年以上の秘伝のタレは、すっきりとした上品な味わい。
看板料理の蒲焼きはもちろんのこと、鰻本来の旨みを堪能できる「白焼き」も通に愛される逸品です。
お席はホールの椅子席に加え、ゆったりとしたお座敷席も完備。
なお、お座敷席はコース料理・予約限定となっておりますので、特別なひとときにはぜひご利用ください。
「伝統の味をゆったり楽しみたい」そんな方におすすめの一軒です。

営業時間:11:00~20:30(L.O.)
定休日:無休
予算:5,000円~10,000円
おすすめポイント:銀座の老舗、白焼きも楽しめる高級店
炭焼 うな富士 有楽町店
有楽町駅から徒歩3分。アクセス抜群の場所にある「炭焼 うな富士」は、名古屋の名店「炭焼 うな富士」の姉妹店。
本店は創業25年を誇り、ミシュランガイド掲載、食べログ「THE TABELOG AWARD」4年連続受賞、「百名店」にも3期連続選出されるなど、数々の実績を誇る鰻の名店です。
東京店では、本店の味をそのままに、厳選された国産鰻を備長炭で焼き上げる「地焼き」スタイルが楽しめます。
蒸さずに強火の炭火で一気に焼くことで、皮はパリッと香ばしく、身はふっくらとろけるような食感に。
中でもおすすめは、贅沢に鰻がのった人気メニュー「富士重」。ボリュームも満点で、満足度の高い一品です。
昼は比較的入りやすいですが、夜は混雑することが多いため、事前予約がおすすめです。
「東京で本当に美味しい鰻を食べたい」と思ったら、ぜひ一度訪れてみてください。
営業時間:11:00~22:00(L.O.21:30)
予算:昼 3,000円~5,000円、夜 5,000円~8,000円
おすすめポイント:駅近でアクセス良好、炭火焼きの香ばしさが魅力
まとめ
鰻は日本の食文化に深く根付いた特別な食材です。
今回ご紹介したように、東京にはさまざまなタイプの鰻屋があり、それぞれに個性とこだわりがあります。
老舗の高級店から気軽に立ち寄れる庶民的な店まで、その日の気分や予算に合わせて選ぶ楽しみもあります。
特にこれからの季節、暑さで食欲が落ちがちな時期には、鰻のスタミナ料理がぴったりです。
ぜひお気に入りの鰻屋を見つけて、日本の伝統の味を堪能してください。
また、鰻料理は地域によって特徴が異なるので、旅行の際にはその土地ならではの鰻料理を探してみるのも楽しいでしょう。
鰻屋での食事は単なる食事ではなく、日本の伝統と職人の技を感じる特別な体験です。
機会があれば、ぜひ本格的な鰻屋で、その深い味わいを楽しんでみてください。