ブロックチェーン技術の普及でインターネットはWeb2からWeb3時代へ突入しつつあります。
Web3時代にインターネットツール/サービスはどのように進化するのでしょう。
当記事ではWeb3時代のインターネットツール/サービスを分かりやすく解説しています。
注目されているインターネットツール(DApps)も具体的に紹介します。
Web3についてお調べ中の方、新しいインターネットツール/サービスを知りたいという方々に向けて有益な情報となれば幸いです。
Web3とは?
インターネットの進化フェーズ | 概要 |
Web1 |
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Web2 |
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Web3 |
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Web3はインターネットの進化フェーズです。Web3以前はWeb2、Web1時代がありました。
2023年1月時点においては、Web2とWeb3の過渡期です。
既にWeb3の機能を実装したインターネットツールやサービスを利用することができます。
一方で、Web2フェーズで使用されたサービス(特にSNS)などが廃れていくわけではありません。
いくつかのメジャープロダクトは、AR/VR技術やブロックチェーン技術を導入して、Web3サービスへの移行を試みています。
※メタバース:Meta(超越)とVerse(世界/宇宙)を掛け合わせた造語です。
インターネット上に構築される仮想現実世界となります。
インターネットの役割
Web1において、インターネットは主に情報収集ツールとして使われました。
Web2では、同時多数接続のコミュニケーションツール(SNSなど)としての役割を果たしました。
Web3時代においても、インターネットは情報収集機能やSNS機能を担うことは間違いありません。
更に、ブロックチェーン技術を導入してメタバースの窓口となり、様々なサービスを利用できるようになります。
ブロックチェーン技術の登場
ブロックチェーン技術の登場でWeb3はより現実的なものになりました。
ブロックチェーン技術は契約をインターネット上で蓄積していく技術です。
2009年にビットコインという暗号資産をやり取りする技術として誕生しています。
Web3時代において、あらゆるビジネスや行政サービス、アカデミック分野の契約がブロックチェーン技術によって蓄積されるようになります。
ブロックチェーン技術は非常に改ざんの難しい堅牢なシステムです。
Web3でのインターネットツール/サービスをより便利かつ安全にしていくでしょう。
DApps?
Web3時代に使用するアプリをDApps(Decentralized Applications)といいます。
インターネットユーザーは自身のウォレット※をDAppsに接続して契約を結んでいきます。
既に多くのDAppsがローンチされており、金融やゲーム分野で使用されています。
※ウォレット:暗号資産を管理するインターネットツールです。
一番有名なウォレットはメタマスクとなります。
リスクと評価
Web3時代には多くのユーザーが暗号資産を使うようになります。
暗号資産は法定通貨との交換もできるので、犯罪グループなどからの標的となります。
ウォレットを使用する際はパスワード/シークレットフレーズの漏洩などないようにして下さい。
また、Web3時代はあらゆるサービスが非中央型(Decentralized)に移行します。
中央管理者/社がいないことで、サービスの利用料などコストは安くなります。
一方で、DeFi(Decentralized Finance)などで契約をする際は個人責任となります。
間違った操作をしても、補償はされません。
Web3時代のインターネットツール/サービス7選
ここからは、Web3で注目されているインターネットツール/サービスを解説します。
ブラウザやメールソフトなどがWeb3時代にどのように進化するのかを見てみましょう。
Brave(ブレイブ)
公式サイト | https://brave.com/ja/ |
関連FT/NFT※1 | $BAT |
初期コスト | 無料 |
Web3時代は、大企業に管理されていたコマーシャルもコントロールできるようになります。
Braveは個人情報やコマーシャル機能を制御できる次世代のインターネットブラウザです。
ユーザーはブラウジングで表示される広告を完全にシャットアウトできます。
少しだけ広告を観覧して、視聴料を貰うこともできます。
視聴料を「払う」のではなく「貰う」のです。
インターネットヘビーユーザーであれば、数ドル/月程度※2を稼ぐことができます。
※1:FT(Fungible Token)は代替性トークンです。
決済資産として使用されます。NFT(Non-Fungible Token)は非代替性トークンです。
デジタル画像や映像などとリンクした暗号資産となります。
※2:ブラウジング報酬(広告視聴料の還元)はBraveプロジェクトのネイティブトークンである$BAT(ベーシックアテンショントークン)で支払われます。
トークンの価格の変動によって対ドル価値は変わります。
MetaMask(メタマスク)
公式サイト | https://metamask.io/ |
関連FT/NFT※1 | FT/NFT管理ツール |
初期コスト | 無料 |
MetaMaskはもっとも有名な暗号資産管理ツールです。
Web3時代を切り開いたイノベーションアプリ(DApps)といえます。
MetaMaskを使えば暗号資産の保管や送受信が簡単にできます。
スマホアプリもローンチ済みで、NFT管理機能も実装されています。
IPFS(アイピーエフエス)
公式サイト | https://ipfs.tech/ |
関連FT/NFT※1 | $FIL |
初期コスト | 無料※ノード参加はデバイス費用など |
IPFS(InterPlanetary File System)はHTTPによるインターネット通信方式をP2Pシステムに移行させます。
現在のインターネットは、AWSなどの中央管理型サービスでインターネットデータを提供しています。
IPFSは世界中に分散されたノード(PCなどデバイス所有者)がインターネットデータを提供します。
ノード参加者はデータ保存デバイスなどが必要ですが、プロジェクトに参加すると報酬が貰えます。
報酬は$FILとなります。
OpenSea(オープンシー)
公式サイト | https://opensea.io/ja |
関連FT/NFT※1 | NFTマーケットプレイス |
初期コスト | NFT購入費、ガス代 |
OpenSeaは世界最大のNFTマーケットプレイスです。
ユーザーはメタマスクなどのウォレットをサイトに接続してNFTをトレードします。
自分でNFTを作成することもでき、様々なチェーンに乗せて流通させることができます。
Web3時代、NFTはメタバースのアバターやアイテムなどに使用されます。
既にメタバースプロジェクトで使用されているNFTがOpenSeaでトレード可能です。
AUDIUS(オーディアス)
公式サイト | https://audius.co/ |
関連FT/NFT※1 | $AUDIO |
初期コスト | 無料~$AUDIO保有 |
AUDIUSはWeb3時代の音楽配信サービスです。
2021年夏にTikTokとの提携を発表したことで話題となりました。
AUDIUSを使えば誰でも自分の音楽を世界に向けて発表できます。
多くのファンを得ればマネタイズも可能です。
また、ユーザーはネイティブトークンである$AUDIOを保有することでプロジェクト運営にも参加できます。
Status(ステイタス)
公式サイト | https://status.im/ja/ |
関連FT/NFT※1 | $SNT |
初期コスト | 無料 |
Statusは次世代のSNSツールとして注目されています。
ウォレット機能をシームレスに使用できることから、暗号資産を簡単に他ユーザーに送信できます。
中央型システムではないので、メッセージや通信が他の第三者(企業や政府など)によって検閲されるリスクはありません。
DAppsにはブラウジング機能もあるので、他の様々なDeFiやBCG(Block Chain Game)にアクセスすることも可能です。
Dmail(ディーメイル)
公式サイト | https://dmail.ai/ |
関連FT/NFT※1 | $ICP、NFT:3D Crystals |
初期コスト | NFTドメイン代 |
DmailはNFT送受信やDApps接続機能を有するメールサービスです。
Gmailも便利ですが、まだ暗号資産送信機能は実装されていません。
ユーザーは最初にNFTドメインを入手する必要があります。
NFTドメインは$ICP、もしくは$USDTでの購入となります。安いもので数ドル程度のNFTドメインがあります。
NFTドメインを保有することでDmailの全ての機能を使用することができます※。
※DApps接続機能については2023年1月時点でまだ実装されていません。
Web2からWeb3へ~課題と展望~
Web2 | Web3 | |
ガバナンス | 中央型管理 | 分散型管理 |
決済/変動リスク | 法定通貨を使用 | 暗号資産を使用 |
流通(チェーン) | 国境/地域 | チェーン |
リーガルコントロール | 対処済 | 対処中 |
プライバシー | 情報漏洩リスクがある | 匿名性が高い |
インターネットのツールやサービスは、ブロックチェーン技術の導入で全く新しいものへ生まれ変わろうとしています。
大きな流れとして、情報の分散管理化があります。
既存の大手企業などが独占管理していた情報が個人によって管理されるようになります。
ここではWeb2からWeb3へ移行する際の課題と展望について解説していきます。
ガバナンス
Web2時代にはインターネットツールやサービスを提供する企業がユーザー情報を一元化して管理していました。
しかし、Web3においてはユーザー情報はブロックチェーン技術によって個人で管理していきます。
既にDEX(分散型取引所)ではユーザーがDAppsとウォレットを接続して自動で取引を完了させています。
コスト面で分散管理化はメリットはありますが、自分の不手際で暗号資産を送金した場合には取り戻す手はありません。
トランザクション処理が成立すれば、全ての契約は正当なものとして評価されます。
決済/変動リスク
Web2において、決済には法定通貨が使われていました。Web3においては主に暗号資産が決済に使用されます。
しかし、暗号資産はボラティリティリスク(変動リスク)がとても高いことで知られています。
1日に数十%変動する銘柄もあります。
決済に暗号資産を利用する際は、十分に変動リスクを考慮しましょう。
流通(チェーン)
インターネットは国境なきサービスを提供してくれます。
しかし、実際は各国/地域の法律に合わせてサービスが限定されています。
スマホアプリでも使用できる国を制限したものが多くあります。
Web3では本当の意味でボーダレスになります。
しかし、暗号資産を流通させるチェーンがインターネットサービスに制限をもたらします。
この問題を解決するために、各Web3プロジェクトはマルチチェーン化※を目指しています。
※マルチチェーン化は様々なチェーンに対応した動き。
イーサリアムネットワークやソラナネットワークなど、複数のチェーンが使用できるようになります。
リーガルコントロール
Web3のインターネットアカウントはウォレット接続で作成されます。
サービス利用者の成人証明や国籍証明手続きはありません。
完全に匿名の存在がWeb3で利益を得ることも可能です。
この便利なソリューションは犯罪グループによって悪用されるかも知れません。
最近では、暗号資産を法定通貨に変換する際に使われるCEX(中央型取引所)で、KYC(Know Your Customer)を徹底するようになりました。
犯罪グループなどによるマネーロンダリングに対応した動きです。
Web3時代においては、世界各国が一丸となってリーガルコントロールを徹底していかなければなりません。
プライバシー
Web2ではプライバシー、個人情報の流出がよくニュースになります。
情報を一元管理する企業や個人のセキュリティが原因です。
Web3において、個人情報は分散管理されます。
1か所のサイトが攻撃を受けても、情報が流出することはありません。
また、プロジェクトごとに異なりますが、多くのDAppsがメールアドレスやSNSアカウントなどの個人情報をリンクさせなくても利用できます。
一方で、DAppsによっては個人情報を入力する必要があるところもあります。
運営元が明らかではないプロジェクトへの個人情報提供は注意が必要です。
まとめ
Web3は分散管理化の大きな流れです。
Web2で企業や事業主が一元管理していた情報と利益がユーザー自身に還元されます。
既に「Brave」などのWeb3ツールを使っている方は実感されているのではないでしょうか。
他にも、当記事で解説したDAppsを試してみて下さい。
Web3への理解がより深まることは間違いありません。
以上、Web3時代のインターネットツール/サービスについて解説させて頂きました。
Web3についてお調べ中の方、新しいインターネットツール/サービスを知りたいという方々に向けて有益な情報となれば幸いです。