現代はコンビニや百貨店、オンラインショップを通じて、どこにいても世界中のお菓子を楽しむことができる便利な時代です。
日本人には馴染み深い和菓子ですが、奥が深く、意外と多くの種類があるのをご存知ですか?
そこで今回は、和菓子の歴史や種類、人気の和菓子をピックアップしてご紹介します。
和菓子の特徴って何?
「和菓子(わがし)」とは日本に古来から伝わる伝統的なお菓子全般をいいます。
和菓子は色彩やデザインは柔らかい印象を受け、季節を感じられるのが特徴です。
和菓子の主な原料は小豆や餅粉のため、甘味は控えめ。100kcal以下の低カロリーなものが多いです。
健康に気を使う方も和菓子ならば適度に楽しむことができるのか嬉しいですね。
普段私達がよく食べている和菓子といえば、まんじゅう、羊羹、大福、最中、煎餅などがありますが、特別なお客様や贈り物には高級な和菓子「上生菓子」を贈呈する習慣があります。
「上生菓子」は花鳥風月や山水といった四季折々の花や鳥をモチーフにした繊細で可愛らしいデザインになっており、その多くは季節限定や地域限定で販売されています。
和菓子の歴史について
「和菓子」の歴史は遣唐使が中国から「唐菓子」を伝えたと言われる奈良時代から平安時代にさかのぼります。
鎌倉時代になると、栄西禅師が大陸から伝えた喫茶が普及して、それに伴ってお茶会のときに抹茶に添えられる「茶会菓子」が広まっていきました。
その後、スペイン、ポルトガル、オランダがらも「南蛮菓子(ボーロやカステラなど)」が伝えられ、洋菓子の道具や技法が和菓子に影響を与えました。
例えば、栗饅頭やカステラ饅頭は外来のお菓子の影響を受けています。
江戸時代に入ると、全国の城下町や門前町で職人の手によって、独特の和菓子が生まれ、京都の京菓子と江戸の上菓子では多くの菓銘が誕生しました。
現代では、結婚式のお祝い事や法事の際には「引き菓子」と呼ばれる和菓子を渡す習慣があり、お祝い事では紅白、法事用は白い和菓子が選ばれています。
和菓子の種類ってどのくらいあるの?
一般的な「和菓子」の種類は水分量と保存性によって、「生菓子」・「半生菓子」・「干生菓子」の3つに分類することができます。
②半生菓子 水分量10〜30%以上
③干菓子 水分量10%以下
生菓子は水分を多く含んでいるため、日持ちする期間が2日程度と短めです。
代表的な生菓子はどら焼きやおはぎ、大福が挙げられます。半生菓子は羊羹や最中などがあります。
干菓子は水分量が低く、最も日持ちがする和菓子です。
例えば、お煎餅や金平糖は賞味期限が長いために、旅行のお土産にもよく選ばれています。
生菓子
「生菓子」はその名前のとおりに生の風味のあり、口あたりがしっとりしたお菓子です。生菓子の中でも、風流さ、口当たりがよく、おもてなしの場で重宝される優美なお菓子は「上生菓子」と呼ばれます。
「生菓子」と一口にいっても、さらに餅物、練り物、流し物、蒸し物などの種類に分けることができます。ここからは、「生菓子」の種類を詳しくみていきましょう。
餅物(餅、おはぎ、赤飯など)
餅物(もち菓子)とはうるち米やもち米を主原料として、練りやあんを加えて加工して製造された和菓子のことです。
水分が多く含まれており、賞味期限は短いため、早めにお召し上がりください。
おはぎ・赤飯・大福餅、柏餅、道明寺、すあま、羽二重餅など
蒸し物(蒸し饅頭、ういろうなど)
蒸し物(蒸し菓子)はせいろうや高温蒸気で蒸しあげて製造される和菓子です。鎌倉時代から室町時代に中国大陸から「点心」が伝わり、日本で独自に発展しました。
中国では、皮の中に肉が入った「マントウ」が定番ですが、江戸時代の日本では肉ではなく、小豆を甘く煮て中に詰める「お饅頭」が将軍や大名の間で人気となりました。
蒸し饅頭・ういろう・葛桜・じゅうよ饅頭・かるかん・ゆべし
焼き物(どら焼き、きんつば、カステラなど)
焼き物(焼き菓子)は、火を使って密閉式の焙焼窯やトンネル窯で焼き上げた「オーブン焼き」と型に流し込んで焼く「型焼き」、フライパンやホットプレートを使って焼く「平なべもの」の3種類の製造方法があります。
オーブン焼き カステラ・栗饅頭・桃山・月餅など
平なべ焼き どら焼き・たい焼き・きんつば・桜餅・つやぶくさ・茶通など
流し物(羊羹、水ようかんなど)
流し物(流し菓子)は寒天・砂糖・餡を主材料に流動状の生地を型に流して、カタチを成型した和菓子のことです。近年はカラギーナン、ペクチンといった天然高粘質物が利用されています。
羊羹・水ようかん・きんぎょく
練り物(煉り切り、ぎゅうひなど)
練り物(練り菓子)とは主原料にあんやもち粉を使って、砂糖やつなぎを加えて揉み込み、練り上げた生地を成形して製造したお菓子です。
生菓子の中でも日持ちします。
ぎゅうひ・ねりきり・こなし・雲平
揚げ物(あんドーナツ、揚げ月餅など)
揚げ物(揚げ菓子)とは、油で揚げた種類の菓子です。
平安時代から存在する菓子で、当時は米粉とお湯を原料にした甘さがないものでした。
現在はあんと砂糖で味付けしてあります。
あんドーナツ・揚げ月餅・かりんとう・饅頭・大学芋など
半生菓子
「生菓子」と「干菓子」との中間に位置する菓子を「半生菓子」といいます。
「半生菓子」の特徴は水分10%以上30%以下で、一口サイズ小さな食品です。
「半生菓子」は外側は乾いていますが、内側は生の風味のあるしっとりとしているのが特徴です。
生菓子よりも乾燥しているため、日持ちしますが、賞味期限は1週間から1カ月まであり、商品によって異なります。
一旦開封したら、賞味期限にかかわらず、早く召し上がるようにしてください。
保存方法は日当たりがよいところを避けて、密閉容器に入れましょう。
あん物(石衣など)
あん物(あん菓子)は、こしあんを小さく丸めた玉状にして、砂糖を加えて薄く伸ばした作った「糖衣」という生地で表面を固めたお菓子です。
石衣はお供え物や来客時にも適しています。
石衣
おか物(最中など)
おか物(おか菓子)は個別に製造した和菓子を組み合わせて成型した菓子のことです。
最中の生地はパリっと香ばしく、中にはぎっしりと餡や餅が入っていて、最近は求肥・アイスクリーム・ジャムなどが入っている商品もあります。
最中・鹿の子・すはま
焼き物(桃山、草紙など)
半生菓子の焼き物(焼き菓子)は生菓子の焼き物と同じく、平鍋製法またはオーブン製法で作られる菓子です。
水分量は少なめで、表面には焼き色がついています。
桃山・茶通・草紙
流し物(羊羹など)
流し物(流し菓子)は寒天に砂糖・水餡を主材料に流動状の生地を型に流して、形を固めて成型した菓子です。
生菓子より水分量を少なく、日持ちが長いのが特徴です。
ようかん・水ようかん・きんぎょく
練り物(ぎゅうひなど)
練り物(練り菓子)はもち米やあんを主材料として、つなぎや砂糖を使い、生地を練り上げて作る菓子です。
生菓子より水分量が少ないため日持ちします。
ぎゅうひ・ねりきり・こなし・雲平
干菓子
「干菓子」は主にもち米が主原料で水分が製品全体の20%以下の乾燥しているお菓子です。
商品には乾菓子と表記されています。「干菓子」は打ち物、掛け物、押し物、焼き物、飴物の5種類です。
干菓子は水分が少なく、糖分が多く含まれているため、未開封の状態であれば、1カ月以上日持ちしますが、商品によって、賞味期限が異なります。
打ち物(落雁など)
打ち物(打ち菓子)はみじん粉などの穀類の粉に砂糖などを加えて、木型に詰めて固め、乾燥させたお菓子です。
らくがん・懐中しるこ・雲きん種
押し物(塩がま、むらさめなど)
押し物(押し菓子)は練り餡を加えたようかん舟・木枠などに押し付けて成形した菓子です。
打ちものより水分が多く、口溶けの良さが特徴です。
塩がま・むらさめ
掛け物(おこし、砂糖漬けなど)
掛け物(掛け菓子)は炒り豆・ゼリー・飴玉を主材料に砂糖みつをかけて、乾燥させて作る菓子です。
ひなあられ・おこし・ごかぼう
焼き物(ボーロ、米菓など)
生菓子・半生菓子の焼きもの(焼き菓子)と同様に、水量や生地を調整して、焙焼して軽く仕上げた菓子です。
焼き菓子は日持ちするので手土産でも人気です。
丸ボーロ・小麦せんべい・卵松葉・押し焼き
あめ物(有平糖、おきなあめなど)
あめ物(飴菓子)は砂糖を主原料に水飴を少量加えて冷却し、引きのばしてカットし、飴状にした菓子です。
有平糖・おきな飴
日本でも代表的な和菓子をご紹介
お饅頭
どら焼き
最中(モナカ)
わらび餅
大福
羊羹
練り切り
桜餅
カステラ
海外でも和菓子が注目
海外では日本の伝統的なお菓子「和菓子」に興味を持つ人が増えており、売上も伸びているそうです。
SNSでは繊細で芸術作品のような美しい見た目の和菓子の投稿を見かけることも。
洋菓子の原料は小麦粉、卵・バター・生クリームといった乳製品が多用されているため、甘味は強く、高カロリーになる傾向にあり、和菓子はヘルシーなため、女性にも人気です。
和食ではお寿司が世界中で人気ですが、どら焼きやカステラ、大福などの和菓子も日常のおやつとして、普及する時代がやってくるかもしれませんね、
まとめ
欧米のケーキやクッキーなどの洋菓子と比べて、日本の「和菓子」は繊細な見た目が特徴的で、「芸術品のようだ」と称されることもあります。
季節を感じられる桜や紫陽花といった花や色彩を取り入れており、季節感を堪能しながらお茶の時間を過ごすことができるのが魅力です。
ぜひこの機会に様々な和菓子を味わってみてはいかがでしょうか。